「東海地震予知情報、想定と現実の狭間」
 

1. 流れを追う

昨年6月、国の中央防災会議は東海地震の想定震源域を改めました。
・震源域は拡大。西へ、ヒョウタン型に広がる
・地震災害強化地域の拡大、名古屋市も含まれる
・我が国の主要幹線道路・鉄道路線が地域内に
 
'01.6月、中央防災会議、東海地震の想定震源域を22年ぶり修正、拡大へ
'01.9月1日、熱海市で総合防災訓練。静岡県庁に国は合同本部を設置
'01.12月、中央防災会議、震度6弱以上の市町村名公表。津波への警戒も指摘
'02.1月、内閣府、東海地震・警戒宣言発令時図上訓練
'02.4月、中央防災会議、強化地域内市町村を167から263へ指定
 
ざっと見たところ見直しに伴う具体的内容は、強化地域の拡大とその裏付けとなる震度分布の再検討でした。
最新の科学理論を使って地震予知に向けた歩みを踏み出したには違いありませんが、第一歩は、地震はどこで起こりそうで、その影響度はいかほどかということでした。しかし最も関心の高い、いつ起きるのかという「予知」は含まれていません。
それでも一連の流れからは確かに何かが読みとれます。
・地震に対する警戒態勢強化の必要性
・22年前のモデルに合わない部分の修正
・震源域、地震規模は予想外に広く大きく影響甚大
・日本の幹線地域、どう守るか
・防災のための平時の対応、意識高揚の必要性


次に具体的なアクションとして、将来の防災対策に通じる行動計画は何が示されたのでしょう。新たに行われたのは想定図上訓練でした。
 
・警戒宣言を想定した東海地震図上訓練。1/11内閣府主催、立川。
・国、静岡県、各種政府機関、公共企業が参加。状況設定に沿った図上訓練を実施。
 
この訓練は行政機関が東海地震の警戒宣言を想定して、時系列に起きる様々な問題をどのように解決するか、関係機関相互に協調して行う実践訓練です。
情報社会と言われるものの、情報発令時の状況の共有が国の機関の間には従来ありまんでした。もちろん必要性は唱えられていましたが、形となったのは初めてのことです。
政府機関の横の連携。行政機関の縦の情報伝達。具体的出動の想定。いわゆるシミュレーションが相互横断的に行われたのでした。

それにさかのぼる昨年6月、内閣府で政府機関の横断的図上訓練を実施する計画がありました。その趣旨は災害情報の共有を図り、具体的な行動の整合性と機敏な対応を狙ったもので、政府機関としては初めてのことでした。災害が起きる、あるいは起きたとき、その内容と規模を掌握しているのが内閣府や消防、警察に限られているという現実に問題がありはしないかという意識からの出発です。この事実を聞いて、皆さんはどのようにお感じになるでしょう。当然すでに行われていることと思うはずです。内容はともかく、必要なものを立ち上げようとした気概を評価するか、これまで無かったことに遅ればせながら現実が追従し始めたと見るか、その違いはありますが、東海地震の予知とそれに対する構えがやっと本格的に真正面から取り上げ始めたのです。
ですから、今年1月に行われた総合図上訓練は、むしろ短期日によくぞ実現にこぎ着けたと言うべきなのかもしれません。何しろこの二十年の間、国は地震に対する情報の流れと国民への伝達を総合的な視点から取り上げて来ませんでした。
この総合図上訓練も見方を変えれば何かを前進させたことは確かです。国と公共機関、当該地方自治体が、東海地震の警戒宣言時に遅滞のない連携をするための情報共有とその摺り合わせを、想定される時間の流れに沿って行ったのです。様々な問題点が見えてきました。本当に大丈夫なのか?、今日は訓練で良かった、といった冷や汗ものの事態もあったに違いありません。
ところが問題点の噴出や予測の甘さは決して意味のないことではありません。やってみなければ到底見つけだせない体験的課題の発見こそ、実は従来ないがしろにされてきたことかもしれないからです。ここに大きなポイントがあります。

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contents

■ はじめに

■ 流れを追う

■ ビデオ「災害医療シミュレーション トリアージ」

■ あなたも出来る危機管理

■ 報道機関の対応

■ お終いに